道場長の柔術コラム Vol.6
「カウンターの柔術 ― 攻守をひっくり返す力」
柔術の魅力のひとつは、攻めと守りが入れ替わる瞬間にあります。
相手の攻撃を耐え、エスケープに成功したその一瞬。そこから一気にカウンターを仕掛けることで、守りから攻めへと状況がひっくり返ります。
例えば、相手がパスガードを狙って前に体重をかけてきたとき。
フレームを使ってスペースを作り、その勢いを利用してスイープへ。
または、マウントからブリッジで逃げた瞬間にハーフガードを取り、そこからアンダーフックを仕掛ける。
この「守りの直後に攻める」動きは、まさに柔術の醍醐味です。
私自身も試合で、苦しい体勢からのカウンターで逆転勝ちを収めた経験があります。
そのとき感じたのは、「劣勢はチャンスの始まりでもある」ということ。追い込まれたからこそ相手は前のめりになり、そこに攻守が反転する余地が生まれるのです。
これは日常生活にも通じます。
困難や逆境に直面したとき、ただ防ぐだけでなく、タイミングを見極めて行動すれば、むしろ大きな飛躍のきっかけになる。柔術が教えてくれるのは、そんな「攻守の切り替えの哲学」です。
カルペディエム新潟では、基礎的なエスケープを習得した後に、この「カウンター」を重点的に練習します。守りを学んだ人ほど、攻めが生きる。その連続性が柔術をより面白くしてくれます。